簿記3級は独学で合格可能なのか
難易度、合格率は?
直近50回の3級平均合格率は39%となっていて、難易度は高くない試験になります 。
簿記の試験は平成28年からの試験範囲の改定で難易度が上がったと言われていますが、それは2級以上の話です。
3級の難易度はほぼ変化はありません
これは3級に関わる変更が「2級の範囲へ変更」「1級の範囲へ変更」などの除外がメインだからです。
唯一追加されるのが「伝票の集計」だけで、これは10分前後勉強すれば満点が獲得できるほどの難易度で、難しくないどころか得点源にもなり得るのです。
さらに、3級の問題というのは完全にパターン化されています。
センター英語のように、第一問はこれ、第二問はこれ、というような感じです。
そのため、重要なのは知識と過去問のやり込み度
電卓を打つことに慣れることも重要ですが、優先順位は下と思ってもらって構いません、
どれほど電卓が早く打てても知識が無ければ無意味です。
知識がスラスラ出てくるのであれば、電卓のスピードが劣っていたとしても時間内に合格点の獲得は可能です。
練習問題を解いていく中で電卓の扱いに慣れるだけでも充分通用しますので、あまり真剣に電卓の練習はしない方がいいです。
重要なのは仕訳が出てくるスピード。
仕訳さえ押さえればネット上で自慢気に書かれている「1週間で合格する」というのも夢物語ではありません。
(申し込みが試験1ヶ月前までなので、1週間で合格という話が少しおかしいのですが)
それでは短期合格を目指す場合には何が大切なのか、
それは簿記のコツを掴むこと、そして学習戦略です!
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3級合格に必要な勉強時間
これは勉強の質と個人の記憶力に関係するのですが、おおよそ50〜100時間で合格は可能です。
時折見かける20時間などは一部の天才レベルの方しかできません。
勉強計画を立てる上で重要なのは、短期で合格するのか中長期勉強を続けて合格を目指すのかです。
1日に可能な勉強時間によって戦略は異なります。
・1日に1時間程度しか勉強できない!
・1日7時間勉強できます!
この二人では戦略も違いますし総勉強時間も違いが出てきます。
ここでは合格に必要な時間を50時間とします。
この場合、1日7時間勉強できる人ならば真面目に勉強すれば1週間で必ず合格できます。
仕事や学校などが忙しい方でも、毎日1時間続けるだけでも合格はできます。
無理に勉強時間を増やそうと試みて、生活が壊れるくらいならば可能な時間だけ勉強をするという方針で大丈夫です。
その場合は土日にまとめて勉強すれば良いだけ、
それだけでもおおよそ1ヶ月で合格することができます。
つまり
出願後から勉強しても合格はできる!
ということです。
だからこそ合格率が高いのです。
具体的な戦略は下に書いています。
テキストなどをすでに購入済みの方は次の項目は飛ばしてもらって大丈夫です。
おすすめテキスト
これからテキストを購入する方へ
テキストは何でも構いません。
テキスト一冊で合否が別れるということは起こりえませんので、市販されているもので大丈夫です。
テキストよりもどれだけ勉強を継続できるかが重要ですので・・・
とは言え、やはり初心者さんなどには取っ付きやすい方が良いので下記の教材をおすすめします。
簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記3級 テキスト&問題集 第3版
これは4コマ漫画が付いていて非常にわかりやすいです。
この教材は、簿記初心者さんにとっては非常に入りやすいと思います。
4コマを読むだけではさすがに合格は不可能ですが、その章の導入として読むと理解がしやすくなるので無駄ではないですよ。
簿記には独特の用語や考え方などがありますので、柔らかく表現してもらえるのは初心者には嬉しいですね。
もしくはこちら
スッキリわかる 日商簿記3級 第8版 [テキスト&問題集] (スッキリわかるシリーズ)
こちらもパブロフ流並みにわかりやすい教材です。
硬い文章が少なく、図なども多く使いながらストーリー仕立てとなっているので読みやすくなっています。
こちらはパブロフよりも若干安い。
注意
この2つの教材以外はわかりにくいというわけではありません。
重要なのは実際に書店に行って立ち読みをして自分の目で確認することです。
個人にはそれぞれ合った教材がありますので、自分の好み、直感を信じて選んでください。
ただ、やはり文字ばかりのものは初心者さんにはキツイと思うので、この2冊をおすすめしています。
問題集はTACさんから多く出ているので、本屋などで購入してください。
選ぶ基準としては過去問が多く付属されているもの、そして最新の物を買ってください(本屋に並んでいるものは最新だとは思いますが、試験が近い時期に行くと直近の物だけで次回の試験対策の問題集が置いていない場合があります。
解説に関してはそこまで神経質に見る必要はありません。
情報社会の現代、探せば過去問の解説は多く転がっていますので、とにかく量が詰まっているものをおすすめします。
電卓の選択基準
こちらもテキストと同時に購入してください。
電卓といえば大手2社、シャープとカシオです。
この2社の製品から選んでも構いませんが、簿記3級のためだけに購入する場合、高い物は全く必要ありません。
10桁表示ができる安い電卓であれば充分です。
簿記試験には電卓にも基準がありますが、1000円前後の電卓に関数機能などの使用を制限される機能は付いていないので安心して購入してください。
おすすめ
カシオ 卓上タイプ 12桁 電卓【ジャストサイズ】 JF-120VB-N
これは僕が使っていた電卓です。
2級までならこれで対応できますし、1000円前後で安価なのでおすすめです。
1級や公認会計士、税理士を目指す方はこちらでは対応できない場面がごく一部ですが出てきます(ルート計算)
ですが、3・2級だけ、という方ならこちらで充分です。
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学習戦略
さて、無事にテキストと電卓をゲットできた人は計画を立てていきましょう。
多くの方は1日の勉強時間を充分に確保できないと思います。
そのため、まずは中長期的な勉強計画から話していきます。
かなり抽象的に書いているため、詳しくは他のページを読んでください。
中長期的な勉強計画(仕事、学校などがある人へ
※これは受験者さんが本気で勉強する前提で書いています
本気でなければこなすことが難しいかもしれません
1ヶ月以上かかっても大丈夫という人はこれを目安に自分のペースで勉強してください。
1週目
まず簿記初心者さんがすべきことはテキストを読むことです。
この段階ではテキストは読むだけ。
練習問題なども最初は1対1の仕訳がメインですので、そこは紙に書く必要などありません。
ここでテキストの最初を深く読んで、簿記が嫌いになる人がいます。
ですので、最初の部分はほぼ流して読めば大丈夫です。
押さえるべき知識は、「決算で区切り」「すべきことは仕訳を行なって収集をすること」くらいです。
あとは借方と貸方、資産、負債、純資産、費用、収益、純損益などがあるということだけを理解すれば大丈夫です。
勘定科目と区分は覚えなくても良いです。
売上が収益、のれんが資産、支払手形が負債、売掛金が資産・・・とか覚える必要はありません。
しかし、現金の増減と借方貸方との関係は絶対に押さえてください!
この現金を軸に最初は考えていくからです。
詳しい考え方は仕訳のコツで紹介します。
後半の内容は難しくなっていますが、序盤の理屈や借方貸方の性質を理解すれば難しく感じることはあまりありません。
このテキストを読む作業を、平日に行ってください。
テキストを読むだけなら場所なんて関係ないです。
通勤通学の電車内、他にも昼食中のスマホを見る時間をテキストに置き換えるだけでも充分な効果があります。
特にお勧めは就寝前です。
就寝前にテキストを読むことで寝ている間に頭が整理され、定着しやすいとされています。
「紙に書かないと覚えられないのでは?」
と思う方がいると思いますが、簿記の仕訳の理屈を覚えることがメインですので紙は不要なのです。
売掛金がなぜ資産なのか、減価償却ってなに?
など普段意識しない事柄が多い科目です。
仕訳の丸暗記は効率的ですが、後々のことを考えて根本を理解するということも大切。
1週間という短期では丸暗記した方が良い場面が多いですが、中長期的な勉強計画ではテキストを読むことで理解をする方が効率的なのです。
平日はそのように仕訳を読むことが大切ですが、休日は反対に練習問題を解いていきましょう。
テキストを読んでいることで、ある程度の知識は定着していると思います。
それを確認するのが、休日のメインテーマです。
第1週目は、テキストの前半をメインに確認作業を行なっていきます(全部確認するのが理想ですので可能な方は行ってください。
平日は5日もありますので、最低2周はしているはずです(してください。
この時間違えた部分は理解が足りない部分として考えます。
正解した部分は理解していると考え、教材の上のタイトル部分にボールペンなどで大きくバツを付けます。
こうすることで、理解している部分とそうでない部分とに分けます。
テキストは3級に合格すれば捨てる消耗品ですので、上に大きくバツを書いても支障はないですよね?
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2週目
バツが付いていない部分をメインに復習をしてください。
間違えた部分だけなので、先週に比べて読むのは早いと思います。
そして休日に確認作業
この場合は先週間違えた部分だけで大丈夫です。
2週間読み続けていた場合、6割程度は定着していると考えます。
そのため、この辺りから過去問の第3・5問以外は短時間で解答可能ですので、解いて自身の実力を試してください。
ここで解答できなかった場合でも大丈夫です。
ネガティブにならずに勉強しましょう。
3週間目
ここからは過去問の第1問なども復習するようにしましょう。
平日忙しい人からは、
「過去問を持ち歩けというのか?」
という声が聞こえてきそうですが大丈夫です
手持ちの携帯電話で問題集の問題、解答を撮影すればいいのです
そうすれば出かけ先でわざわざ問題集も持ち歩く必要はありません。
これは教科書の方にも応用してください。
復習が必要な部分が減ってきた場合は、その部分だけ撮影すれば復習は事足ります。
※個人で使う分には著作権の問題はありません。
精算表、財務諸表、残高試算表などの仕組み、作り方の確認も平日に行えると次の休日の勉強の効率が上がるのでおすすめです。
休日には集中して第3・5問を練習してください。
ここを落としては合格が遠のきますので、ここから力を入れる必要があります。
決算整理の仕訳を覚えている、作れる場合は問題なく解答し正解できるでしょう。
この総合問題は紙に仕訳を全て書き出し、科目ごとに合計していくことで答えが出せます。
つまり、仕訳がキチンと切ることができる場合失点はありえません。
間違えた仕訳に関しては記憶が曖昧な可能性がありますので、テキストに戻って復習してください。
費用の繰り延べや見越し計上が難しいと思いますが、これは必ずと言っていいほど出るので放置しないようにしましょう。
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4週目以降
この後は時間を計って過去問などをしつつ、苦手部分を潰す作業になります。
平日で家にいる時間も過去問を解くようにしてください。
試験1週間前には、時間を計測しながら5問全てをまとめて解くようにしてください。
初見ならば70点、2回目以降なら90点を目標に解答してください。
問題が無くなってしまった場合は模試などが収録された問題集を解くのも良い練習となります。
これで中長期の計画は終わりです。
期間は早めてもらっても構いません。
これで合格はほぼ手中になりますので、自信を持って試験会場に行ってください。
過度の緊張で記憶が飛びました、とならない限り合格です。
短期の場合
初日、2日目:テキストを読む
3日目、4日目:練習問題を解きながら復習
5日目、6日目:時間を計りながら過去問を回していく
7日目:今までの総復習、不安な部分を0にする
短期は工夫する点などは特にありません。
とにかく記憶力勝負です。
頭に詰め込む作業になります。
記憶力がよければ時間をかけずに合格できるかもしれないですが、2級を目指す方や記憶力に自信があるという方以外はコツコツと覚えていくことをお勧めします。
以上で簿記3級の独学合格に重要なことは終了です。
しかし、これはあくまでも勉強の方法紹介なので、学習計画の手助けをするだけです。
これを実践するか否か、実践ができるかどうかは読者の皆さん次第です。
1ヶ月という短期間での合格を目指すのであれば、やはりそれなりに努力しなければいけません。
このサイトを参考にして合格できたという人が出ることを祈っています。