お金が動かない仕訳
仕訳の全てにお金が絡めば仕訳の作り方は前回のコツで事足りるのですが、お金勘定が使われない仕訳というものももちろん存在します。
例えば、減価償却費の計上。
これは資産の価値が下がる仕訳を切るだけで、実際にはお金は一切動いていないです。
ここからはそんな仕訳を見ていきます。
◯◯費が使われる仕訳
◯◯費:減価償却費、消耗品費、保管費、修繕費、雑費など
この◯◯費という項目は全て「費用」に分類されます。
これは一般教養があればわかると思いますので問題ないでしょう。
ここで、その費用の増減と貸借の関係はどうなっているのかを考えてみましょう。
ここで1つ例を挙げてみます。
例)建物の修繕費10,000円の代金を、小切手を振り出して支払った。
この問題ではお金勘定が動いていますので、簡単に解くことができますね。
お金の減少→貸方にお金勘定(この問題では現金)→貸方の相手勘定に修繕費。
よって、
(修繕費)10,000 (現金)10,000
となります。
このほかの問題も解いてみるとわかると思いますが、費用の発生仕訳では◯◯費が必ず貸方に出ているのです。
発生=増加です。
つまり、費用の増減と貸借の関係はお金勘定と同じとなっているということがわかります。
これは損益計算書の構造を覚えている人にはわかることだと思います。
借方に費用、貸方に収益が載るというのは即答できるのではないでしょうか。
しかし、ここではそのような「費用が借方で収益が貸方」や「損益計算書の構造を覚えろ」というようなことは言いません。
解答時には科目が大半書かれていますし、仕訳ができればそれの集計によって貸借どちらに残高があるかわかりますから心配無用です。
◯◯費という勘定科目の貸借との関係はお金勘定と同じ。
これを押さえればお金が動かない仕訳に応用できます。
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決算整理事項の仕訳
第3問と第5問を解く時に必要になるのが、決算整理仕訳。
これに関しては問題文に指示があるのでそれに従って解答してください。
繰越商品
例)期末商品棚卸高は¥38,000 である。売上原価は「売上原価」の行で計算すること。
試算表
(借方) (繰越商品)40,000
(仕入) 500,000
繰越商品と仕入れの調整、そして売上原価の算定が求められています。
繰越商品は前期末に売れ残った商品です。
これを決算時に振替なければいけません。
これはどのテキストでも書かれているやり方がありますね。
「しーくりくりしー」です。
(仕入)×× (繰越商品)××
(繰越商品)×× (仕入)××
この形。
まず、全期首の商品を仕入れ、当期末に残った商品を次期に繰り延べるという仕訳です。
この形を覚えても構いません。
しかし、一応作り方というか説明を。
問題の残高試算表などに載っている繰越商品は前期末の物。
なので、これは当期中に売れたはずである(仕入が50万もあるので、売れていないと大赤字です)。
ですのでこれを売上原価として、損益計算書に計上する必要があります。
借方にあるので、これを減らすには逆側に乗せればいいですね。
(売上原価)40,000 (繰越商品)40,000
問題では売上原価の行で計算すること、とあるため、使用科目は売上原価勘定になります。
そして、売れ残った部分。
38,000円分売れ残ったのですね。
売れていないので、これは当期の売上原価に入れるわけにはいけません。
つまり、売上原価から減らし、次期へ繰越す商品が増える→先ほどの逆。
よって
(繰越商品)38,000 (売上原価)38,000
となります。これで前期の商品を原価に入れ、残った商品について原価から排除することができました。
しかし、このままでは売上原価が40,000ー38,000=2,000(借方)になってしまいます。
いやいや、これじゃ前期の商品2,000円分しか売れていないことになってしまいますよね。
ですので、当期仕入れた商品分=仕入額を足す必要があります。
仕入額を足す→仕入勘定がなくなるということなので、貸方に仕入勘定です。
(売上原価)500,000 (仕入)500,000
これで、売上原価勘定の金額が500,000+40,000ー38,000=502,000となり、終了です。
まとめると、
①繰越商品を売上原価、もしくは仕入に加える。
②そして、売れ残った商品(期末残高)を繰越商品に振り替える。
この流れを今回では売上原価を使用しろ、という指示があったため売上原価を中心に仕訳を切りました。
しかし、その指示がなかった場合は仕入額を売上原価として計算を行います。
※かなり雑な説明なので、詳しくは商品のページで。
減価償却費
固定資産の価値の減少分を計上する作業ですね。
詳しくは減価償却のページで
3級では定額法だけなので、計算を間違えることはないと思います。
仕訳の形ですが、上で書いていることがここで重要となります。
◯◯費という勘定科目の貸借との関係はお金勘定と同じ。
減価償却費ということでこの定義に当てはまります。
つまり、減価償却費の増加は借方に計上されることになります。
相手勘定は問題によります。
「間接法で記帳する」と書かれていたり、解答用紙に「減価償却累計額」がある場合は間接法なので相手勘定は減価償却累計額となります。
個別に減価償却費を計上していく方法もありますので注意してください。
「減価償却累計額を使用しない」「直接控除する」などの指定があれば直接法で、相手勘定はその固定資産になります。
例)建物に対して2,000円の減価償却費を間接法で記帳している。
減価償却費が増加ということで、借方に減価償却費が記入される。
相方は問題に間接法とあるので、減価償却累計額となる。
よって、
(減価償却費)2,000 (減価償却累計額)2,000
となる。
まだまだ決算整理事項はありますので、次回に続きます。
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