有価証券とは
※言葉の説明なので、赤い文字以外は合格に必要ないです。
有価証券とは、法律上財産権を表した証券のこと。
会計上では一般に企業が不特定多数の投資家から資金調達をするために発行するもの等に限られる。
会計上での有価証券は、株式・公社債などが主になります。
上の定義で分けると、有価証券には手形・小切手なども含まれる。
株式とは、株式会社の所有者の権利もしくは権利を表す証券をいう。
だから普通は見えないものなんです。
それを会社が具現化させたものが株券です。
投資家は金銭を払ってこの株式を取得し、株主となります。
この株主は株主総会に参加したり、剰余金の配当を受けることができる。
公社債は、国や地方公共団体が発行する公債と会社が発行する社債などの総称になります。
公債も社債も発行主が違うだけで中身は同じです。
公社債では額面金額が一定期間経過後に返済されます。
しかし、支払った金額がそのまま数年後に返ってくるだけでは誰も購入してくれません。
得がないのだから、銀行に預けていた方がよっぽど良いですよね。
だから公社債には利息が付いているのです。
利息の金額は銀行以上ですが、会社が倒産すると返済されないというリスクがあるため一長一短になっています。
株では剰余金の配当がもらえる。
株の価値は変動するため、売買することで差額が損益となる。
公社債では利息が受け取れる。
必要な知識はこれくらいです。
別にこれを知らなくても問題は解答できますが、常識的な部分があるので、知らなかった人はこの機会に覚えましょう。
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有価証券の仕訳
上に色々と書きましたが、簿記3級では株式と公社債の分類は行いません。
なので、株式と公社債をまとめて有価証券勘定を使用します。
※2級になると有価証券を5つに分類します。
なので、社債や株式が、と書かれていても全て有価証券として仕訳を行いましょう。
例)株式10株を、1株につき100円で購入し、手数料500円とともに現金で支払った。
有価証券の取得の仕訳です。
有価証券の取得原価は、購入代価と付随費用(手数料)の合計となります。
簡単に言うと、その有価証券を買う時に支払った金額は全て有価証券の取得原価になる。
1株100円の株式を10株購入した。
そして手数料が500円存在する。
つまり、100×10+500=1,500円。
これが取得原価になります。
現金を支払ったということで、借方に現金勘定がくる。
よって、仕訳は。
(有価証券)1,500 (現金)1,500
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例)保有していた株式の配当金領収証1,000円を受け取った。
これは配当金を受け取った時の仕訳になります。
問題文の配当金領収証は簿記上では現金として処理されます(現金ページより)。
現金ページにも書いていますが、このことは特に覚えるべき事項ではありません。
配当金受け取った=現金で処理、ということを覚えてください。
現金を受け取ったと処理するということで、こちらも仕訳はすぐに思い浮かぶでしょう。
現金受け取り→現金増加→借方。
相手勘定は「受取配当金」。
そのまますぎる名前なのですぐに覚えられます(覚えるというレベルでもないと思いますが)。
(現金)1,000 (受取配当金)1,000
例)保有していた社債の利息を受け取った。
今度は社債の場合。
社債の場合は配当金ではなく利息になるので、区別は簡単です。
問題文によっては、「利札が〜」となることがあると思いますが、意味は同じです。
売却した、と書かれていない限り、全て利息の受け取りと考えても大丈夫です。
この利息は利札と引き換えに支払われるもの。
期日が到来した利札は現金で処理を行います(現金ページより)。
こちらも配当金と同じく、利息受け取り=現金で処理と覚えてください。
現金が増加→借方。
相手勘定は「有価証券利息」を使用します。
有価証券から発生した利息だから、有価証券利息(そのまま)。
(現金)1,000 (有価証券利息)1,000
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例)株式10株(取得原価1,000円)を1株120円で売却し、手数料100円を差し引いた残額を現金で受け取った。なお、売却手数料は独立して費用処理している。
有価証券の売却の仕訳です。
売却の時にも手数料が発生することがあります。
取得の時は有価証券に入れて処理しましたが、今回問題で「独立して」という指示があるため、個別で処理していきます。
まず手数料に関しては無視して進めていきます。
現金を受け取った→現金が借方。
相手勘定は何か。
これは売却した物、有価証券ですね。
※有価証券は現金と同じ資産なので、減る時は貸方にきます。
別に覚えていなくても、この問題の登場人物は現金・有価証券・手数料くらいだから、無視した手数料を除くと有価証券以外入る物がないですよね。
受け取った金額(手数料は無視)は10株×120円なので、1,200円になります。
そして売った有価証券は1,000円分です。
つまり、1,000円の有価証券を1,200円で売ったということになります。
小学生でもわかるでしょう。
これは利益が200円出ていますよね。
この利益部分の勘定科目は「有価証券売却益」です。
有価証券を売却した時に出た利益で、有価証券売却益。
こちらもそのままですね。
あとはそれを組み合わせるだけです。
まずは現金を借方に書いて、次に売却する有価証券を書く。
そうすると貸方に200円不足しているので、そこに先ほど出した有価証券売却益を書く。
(現金)1,200 (有価証券) 1,000
(有価証券売却益)200
最後に今まで無視し続けていた手数料を加えていきます。
「手数料は独立して処理」という指示があるので、支払手数料を個別に計上します。
「手数料を差し引いた残額を現金で受け取っている」これを逆に捉えると、「受け取る現金から手数料を支払っている」と考えることができるはずです。
とにかく、手数料の支払いは現金ということになります。
その仕訳は、
(支払手数料)100 (現金)100
となります。
これを上の仕訳と合わせると、現金勘定が貸借どちらにも出ているので相殺しましょう。
相殺というのは、貸借どちらか又は両方0になるまで減らすということ。
この場合、少ない貸方100の分借方も減少させるということになります。
(現金)1,100 (有価証券) 1,000
(支払手数料)100 (有価証券売却益)200
最終的な形がこのようになります。
貸借で同じ勘定科目が無く、合計金額も一致している。
問題文の指示「手数料は独立して処理」というものも守っている。
これがこの問題の解答の仕訳です。
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この問題では「手数料は独立して処理」とありましたが、もう一つ「売却損益に含めて処理」という指示も考えられます。
これは、上の最終的な形からもう一工夫させます。
売却損益に含めて処理ということで、これを有価証券売却益に加えてみましょう。
支払手数料は借方、有価証券売却益は貸方。
基準となるのは指示にあるように、売却損益です。
(売却損益に含めて、なので)。
よって、売却損益がある貸方をプラス、逆の借方をマイナスとして考えます。
有価証券売却益は+200。
支払手数料は−100。
よってこれを合わせると、200+(−100)=100となります。
この100は基準となった売却損益のものです。
支払手数料は有価証券売却益に含まれたということで、仕訳上からは消えることになります。
よってこの場合の解答は。
(現金)1,100 (有価証券) 1,000
(有価証券売却益)100
となります。
注目すべきなのは、現金の金額と貸借の金額です。
現金の金額は、最終的に自分が受け取った金額となります。
そして、支払手数料が有価証券売却益に含まれたことによって全体の金額が1,100円となりました。
支払手数料と売却損益の貸借が逆だったため起こったことです。
全体の金額減っているこの状況は色々と大丈夫なのか?と疑問になるかもしれません。
利益減少しているし、当期純利益の金額が変動しないか、と思うかもしれませんが大丈夫です。
まず当期純利益の金額はどのようにして算出されるか考えてみましょう。
当期純利益=収益−費用です。
そして、支払手数料は費用項目になります(覚えなくていいです)。
独立で処理した場合の当期純利益は(これ以外の取引が無いと仮定した場合)、利益200−費用100=100になります。
そして、売却損益に含めた場合は、有価証券売却益だけが費用収益の項目なので、当期純利益は100となります。
つまり、最終的な利益の金額はどちらも100となります。
そのため、全体の金額や利益金額が減少しているように見えるかもしれませんがこの仕訳は最終的な数値に変化は無いので正しいのです。
最後は少し難しいと感じたかもしれません。
結論でも書きましたが、結局同じ結果になるので気にする必要はありません。
理解できなかったなら無視してもらってもいいです。
理論などを知らなくても仕訳が正しく行えていれば正解できますので。
この有価証券は比較的簡単な分野なので、是非得点源にできるように頑張ってください。
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