お金勘定実践編パート3。
パート2でも書きましたが、今回から問題を最初に全て出し、その後解説するという形にします。
なので、メモできる状況の人は仕訳をメモしてから解説を読んでみてください。
全5問。
⑴現金の実際有高が帳簿残高より多かったため、現金過不足勘定で処理されていた ¥ 10,000 のうち、¥ 6,000 は受取手数料の記入漏れであることが決算日にいたり判明した。残額については不明のため、適当な科目に振り替えることにした。
(ポイント)適当な科目は益か損か。
⑵商品 ¥ 96,000 を掛けで売り渡した取引を、借方・貸方とも誤って ¥ 69,000 と記入されていたので、正しい金額に 修正した。
(ポイント)誤った記入ということは?
⑶商品 ¥ 200,000 を仕入れ、代金のうち ¥ 150,000 はすでに支払ってある手付金で充当し、残額は掛けとした。
(ポイント)手付金=?
⑷不要となった備品(取得原価 ¥ 300,000 、減価償却累計額 ¥ 100,000 、間接法で記帳)を期首に処分し、売却代金 ¥ 50,000 は後日受け取ることにした。
(ポイント)後日受け取りのお金勘定は何か。
⑸従業員の出張に際し、旅費の概算額 ¥ 100,000 を現金で手渡した。
(ポイント)概算額の支払いということは?
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解答解説
⑴現金の実際有高が帳簿残高より多かったため、現金過不足勘定で処理されていた ¥ 10,000 のうち、¥ 6,000 は受取手数料の記入漏れであることが決算日にいたり判明した。残額については不明のため、適当な科目に振り替えることにした。
現金過不足のページでも書きましたが、このような問題を解く方法には2通りあります。
1つが、現金過不足判明時点の仕訳を考える方法。
もう1つが、そのようなことを一切考えず他の勘定の意味から仕訳を作っていく方法。
前者の方はそのままです。
今回の場合は「帳簿残高より多かった」とあるので、判明時点では、
(現金)10,000 (現金過不足)10,000
このような仕訳が行われていたはず。
ということで、今回の問題で答える場合はこの現金過不足を0にするので借方に現金過不足がきます。
現金過不足が入ればあとは簡単です。
残りの勘定科目はこの現金過不足の内容だから全て貸方ですね。
受取手数料はすぐにわかりますが、もう一つの「適当な科目」がわからないという人はいたと思います。
現金過不足などでの適当な科目=雑損益勘定です。
内容が不明なので、このような勘定科目に振り替えています。
この理論はこちらのページで解説していますが、とりあえず「雑損益勘定を使用する」ということを覚えれば大丈夫です。
いつのまにか現金が増えていた、というのが今回の問題の冒頭に書かれています。
そのため、今回は益か損か。
現金が増える→収益増加→利益の方。
これは収益費用の区分関係なく、一般的な理論ですよね。
そのため、この問題の答えの金額は問題文の指示通りに埋めれば、
(現金過不足)10,000 (受取手数料)6,000
(雑益) 4,000
これが解答になります。
正直、今のやり方はあまり好きじゃないです。
やはり現金の増減を考えて解答する方が良いと思います。
ということで、後者のやり方。
今回、すでに現金過不足で処理されているものの一部が判明したという問題。
なので、現金はすでに増減されているということですよね。
その現金の代替勘定として現金過不足が使用されている、と。
つまり、現金の代わり=現金過不足勘定はこの場において現金と同じ動きになる、ということがわかります。
これは当然のことです。
代わりとして存在するなら、その代わりとなるものと同じ働きをしなければ代わりとはいえないですよね。
壊れた冷蔵庫の代わりとして電子レンジを買う変わり者はいないはず。
壊れた冷蔵庫の代わりは、同じ働きをする冷蔵庫しかなれません。
とにかく、現金過不足が現金と同じ動きをするのです。
問題文の後半、現金過不足の内容の話。
受取手数料と残額は適切な科目で。
注目すべきなのは受取手数料。
この勘定科目の意味は名前から想像できます。
この科目は誰かから手数料を受け取った、つまりお金が増加することを意味しているのです。
支払手数料の逆と考えるとわかりやすいでしょう。
受取手数料勘定ということはお金増加→お金勘定が借方→今回現金の代わりとして現金過不足が借方になる。
金額はそれぞれ問題文の通り。
残っているのが貸方に残額4,000円。
借方のお金勘定→収益の増加→雑益。
(現金過不足)10,000 (受取手数料)6,000
(雑益) 4,000
となります。
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⑵商品 ¥ 96,000 を掛けで売り渡した取引を、借方・貸方とも誤って ¥ 69,000 と記入されていたので、正しい金額に 修正した。
誤った記入の修正がこの問題で聞かれていることです。
このような修正を求める仕訳を解くには以下の手順があります。
①間違っている仕訳を書く。
②その逆仕訳を行う。
③正しい仕訳を書く。
④2と3の仕訳を合わせる。
①今回間違っている内容は金額だけ。
よって、いつも通り作っていけば大丈夫です。
売上→お金勘定の増加→お金勘定が借方→今回は売掛金。
間違った金額は問題文の後半に書かれているもの。
(売掛金)69,000 (売上)69,000
②先ほど書いた仕訳の逆仕訳を行う。
こうすることで、①の仕訳を行っていないことにするのです。
(売上)69,000 (売掛金)69,000
③正しい仕訳を行います。
正しい仕訳については最初の部分に書かれています。
(売掛金)96,000 (売上)96,000
④2と3の仕訳を合わせる。
これが修正の仕訳となります。
合わせるといっても、同じ科目の金額の差額を求めて、貸借に書くだけです。
売上は借方に69,000、貸方に96,000。
この場合、貸方が27,000多いですよね。
売掛金の場合は逆に借方が27,000多い。
売上は貸方に27,000、売掛金は借方に27,000。
(売掛金)27,000 (売上)27,000
となります。
これが修正仕訳で、解答になります。
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⑶商品 ¥ 200,000 を仕入れ、代金のうち ¥ 150,000 はすでに支払ってある手付金で充当し、残額は掛けとした。
こちらの問題は手付金が何か?という問いになります。
問題文に書かれている「すでに支払っている」という文言から、前払金勘定だ、とわかります。
前払金はお金勘定に分類されましたね。
なので、いつも通りお金勘定から仕訳を作っていきましょう。
仕入れ→お金勘定減少→お金勘定は貸方→今回は前払金と掛け金です。
仕入れ→購入→買掛金。
勘定科目は全て判明しました。
金額は問題文の指示通りです。
(仕入)200,000 (前払金)150,000
(買掛金)50,000
⑷不要となった備品(取得原価 ¥ 300,000 、減価償却累計額 ¥ 100,000 、間接法で記帳)を期首に処分し、売却代金 ¥ 50,000 は後日受け取ることにした。
固定資産の売却に関する問題ですね。
分かるところから順番に埋めていきましょう。
まずはお金のやりとりです。
備品を売って、お金を受け取る。
お金勘定は借方ですね。
そのお金が増加する要因となったモノは反対側→貸方に書きます。
つまり、備品が貸方。
その備品300,000円の内訳です。
まずはその備品の価値減少分を減らしましょう。
減らす→反対側→借方に、減少分に当たる減価償却累計額。
期首に売却しているので、減少分は累計額だけになります。
この説明は固定資産の売却のページで。
受け取るお金勘定ですが、「後日受け取る」とのこと。
つまり、これは未収入金勘定です。
未だ収入になっていないお金勘定という意味です。
この金額は問題文にある金額。
ここまで書くと、どちらかの金額が多いはず。
貸方が多いということは、備品の価値に対して受け取った金額が少ないということ。
今回の問題の場合、備品の価値的に200,000円受け取れるはずなのに50,000円しか受け取れないのです。
なので、勘定科目は固定資産売却損になります。
(備品減価償却累計額)100,000 (備品)300,000
(未収入金) 50,000
(固定資産売却損) 150,000
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⑸従業員の出張に際し、旅費の概算額 ¥ 100,000 を現金で手渡した。
概算額の支払い=仮払金勘定で処理。
これは覚えるしかないので覚えてください。
現金の支払いということで、貸方に現金勘定ですね。
(仮払金)100,000 (現金)100,000
ちなみに仮払金は、支払う時点ではお金勘定には含まれません。
これは現金過不足も同じなのですが、現金の代わりとして働くのは、あくまでこのように支払った(現金過不足では修正した)後のことです。
支払い時点ではただの1勘定科目でしかありません。
このことを知っておいてください。
まとめ
今回の問題は日商簿記3級の第115回の第1問になります。
115回を選んだ理由は、ただ今日の日付が15日だったからなのですが。。。
簿記を学習していると、圧倒的にお金が関連する仕訳が多いことに気づくはずです。
店などの取引でお金が発生しないことの方が少ないので、ある意味では当然の話です。
なので、このサイトではお金の増減に着目して仕訳を行なっています。
ここから考え始め、もし覚える必要があると思えば仕訳の形をそのまま覚えても構いません。
ただ、その仕訳の意味を理解することも重要です。
ですので、意味を忘れたときはこのサイトで確認をしてみてください。
このページがあなたの役に立ったのなら嬉しいです。