仕訳のコツ 理解を高める考え方

仕訳の作り方のコツ

 

簿記での仕訳のコツ

簿記資格を獲得するためには避けては通れない道、それが仕訳です。

簿記の勉強を行なっている人の大半は、テキストの仕訳の形を丸暗記するだけだと思います。

(現金)100 (売上)100

とか

 (当座預金)90 (受取手形)100
(手形売却損)10

など。

上のものはシンプルですが特殊な形、ややこしい形のものほど暗記に頼ってしまいがちです。

しかし、丸暗記だけの攻略法では試験会場で忘れた場合に対処が不可能ですよね。

借方貸方どちらだっけ、どの科目使えばいいのか忘れた、貸借(左右)の合計が一致しない。

といった局面で何もできずに点数を落とす。

それは非常に勿体無いことですよね。

特に第1問は問題1つに対する配点が非常に高くなっています

上に勘定科目が記載されているとはいえ、使用する科目に迷っている時間はありません。

作り方を知った上で暗記する、というのが最も安全なやり方です。

もちろん、第5問などの精算表を解き続ければ自然とどの科目が資産で負債で費用で収益なのかはわかるようになります。

しかし!

学習開始時、および覚えるのが苦手な人には丸暗記だけで挑むのは正直辛いのが3級です。

2級も目指しているという人は、作り方も抑えていかなければ2級の突破は難しいと言ってもいいでしょう。

2級になると格段に覚える量が増加するので、全部を丸暗記は凡人には困難です。

 

とはいえ、3級だけという人も理屈、根本を押さえておいて損はありません。

仕訳の作り方ですが、参考程度と考え、自己流にアレンジしてもらっても構いません。

あくまでも覚え方、作り方の1例ですので、自分が覚えられる形に修正するのはとても素晴らしいことです。

合格するための方法は人それぞれですから。


 

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仕訳のコツ

僕が推奨するやり方は「お金中心作成法」です(幼稚な名前ですいません)。

名前のままなのですが、仕訳を切る店のお金の増減を軸にして仕訳の貸借と項目を考えていく方法です。

そのため、お金が関わる仕訳においては資産、負債、費用、収益の区分は考える必要がありません!

お金の増減に関わる科目を一括して「お金勘定」と呼ぶことにします。

お金勘定には、現金・当座預金・売掛金・支払手形などが含まれています。

何を使用するかは問題文に書かれているので、それを使用してください。

※僕が勝手に作った科目なので、解答用紙には絶対に書かないでくださいね。

そしてこのお金勘定から埋めるという作業を行ってください。

お金勘定をまず最初に入れることで、残りの場所がスムーズに解答できます。

 

そしてもう一つ前提知識として、店のお金が増えた場合、お金勘定は左側にくる。

逆に店のお金が減った場合は、お金勘定が右側にくる。

これは最低でも押さえてください。

 

仕訳をさせる問題文を読むコツは、句読点の前に注目すること。

基本的に問題には句読点が入っているはずです。

その場合、句読点の前には重要な単語が隠れていることが多いため、注意して読んでください。

 

あとコツではないのですが、貸借と金額が判明した科目はすぐに紙に書くとわかりやすくなるので、紙に書きながら解いてみてください。

 

これらが頭に入った人は仕訳の練習をしてみましょう。

 

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例)商品100円を仕入れ、代金を現金で支払った。

 

この問題、おそらく全員が即答できるはずです。

(仕入)100 (現金)100

となります。

 

この仕訳を上のコツを踏まえて組み立ててみましょう。

まず、お金の動きを問題文から確認します。

現金で支払った」とあります。

よって、店のお金は減った

つまり、お金勘定は右側にきます。

問題文に「現金で」とあるため、科目は現金勘定を使用

相手勘定ですが、これは「仕入れ」と書いているため、仕入勘定になります。

よって答えが

 (仕入)100 (現金)100

となるのです。

 

 

めんどくさいなぁ、と思った方は多いのではないでしょうか。

確かに、この程度の仕訳に対してここまで考えるのは非常に面倒ですし時間もかかります。

しかし、どんどんややこしくなっていく仕訳に対応するにはこの方法に慣れておくことが有効です。

 

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例)A商店から商品 ¥ 500,000 を仕入れ、代金のうち ¥ 300,000 はA商店を名宛人とする約束手形を振り出し、 残りは小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の預金残高は ¥ 150,000 であったが、同商店は取引銀行と ¥ 2,000,000 を限度とする当座借越契約を結んでいる。

こんな問題が出るとめんどくさいですよね。

この問題も慣れれば即答できるのですが、慣れない最初のうちは時間がかかってしまうと思います。

これをできる人間が解くと、

借方に仕入500,000、貸方は支払手形200,000、当座預金150,000、当座借越50,000か。

とすぐに出てきます。

これは仕入勘定が借方に出る、支払いについてが後ろの文章だから貸方について書いているのかな、ということを瞬間的に思考しているからです。

そして当座預金と借り越しの関係も即答できるのもあります。

このような技術を短期間で身につけるのは至難の技です。

僕もこのような思考がすぐできたわけではないので。

 

ということで、これをお金の動きを中心に見てみましょう。

まず、「仕入れ」という言葉から、仕入れ→お金の減少→右側にお金勘定、と考えます。

貸方にはお金勘定が入り、相手の借方には仕入がくるということがわかりましたが、問題は残りの貸方の科目と金額。

それを出すためには、仕訳の貸借(左右それぞれの合計)が一致するという原則を使用します。

つまり、相手勘定の仕入の金額500,000に対応するようにしなければいけません

この根拠(なぜ対応するのが500,000という金額と決められるのか)がどこからきたのかというと、上のコツに書いたことです。

A商店から商品 ¥ 500,000 を仕入れ、代金のうち ¥ 300,000 はA商店を名宛人とする約束手形を振り出し、 残りは小切手を振り出して支払った。なお、当座預金の預金残高は ¥ 150,000 であったが、同商店は取引銀行と ¥ 2,000,000 を限度とする当座借越契約を結んでいる

この問題文の句読点の前は仕入れ振り出し支払った残高は〜であったが借越契約を結んでいる、と書かれています。

 

当座借越についての知識があるという前提になりますが、仕入れ以外は全て支払いに関することであるとわかります。

お金の支払いに関する事柄は全て右側に関連します。

つまり、反対の左側に入る項目は仕入のみ、とわかります。

よって、対応する金額は仕入の金額500,000になるのです。

 

左側の科目と金額が埋まりました。

次は右側の科目と金額です。

まず、「300,000の手形を振り出した」とあるので、これは支払手形勘定を使うということがわかります(詳しくは手形のページで)。

残りは小切手を振り出して支払った」とあるので、残りの金額(500,000ー300,000=200,000)が当座預金勘定になります(詳しくは当座預金のページで)。

しかし、なお書きの部分「残高が150,000で当座借越の契約を結んでいる」とあるので、当座預金勘定は残高分で超過額(200,000ー150,000=50,000)を当座借越勘定にします。

これをまとめると

(仕入)500,000 (支払手形)300,000
         (当座預金)150,000
         (当座借越)50,000

となります。

 

今回はここで終わります。

ぜひ、お金の増減を考えながら仕訳を組み立てるようにしてください。

 

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