このページでは過去問として、第1問の問題を解説していきます。
ある程度の知識があるもの、として説明は行います。
忘れている項目がある人はこの機会に覚えなおしてみましょう。
解説を読む前に、こちらでお金勘定の使い方を確認してください。
これを読まないとおそらく解説が理解できないと思います。
第116回第1問
この回でややこしい仕訳は1つだけ。
あとは知識さえあれば満点可能なレベルです。
⑴小笠原商店へ商品 ¥ 400,000 を売り渡し、代金のうち ¥ 250,000 については、村上商店振出・小笠原商店宛の約 束手形を裏書譲渡され、残額については月末に受け取ることにした。なお、小笠原商店負担の発送運賃 ¥ 8,000 につ いては、小切手を振り出して立替払いした。(問題に立替金勘定が存在しない)
⑵営業用の建物を ¥ 5,000,000 で購入し、代金は当月末に支払うこととした。なお、仲介手数料 ¥ 100,000 について は、小切手を振り出して支払った。
⑶前月末に得意先より ¥ 300,000 が当座預金口座に振り込まれたが、その内容が不明であったため仮受金として処理し ていたが、本日得意先から連絡が入り、その内訳が売掛金の回収額 ¥ 200,000 と、注文を受けた商品 ¥ 400,000 に 対する内金 ¥ 100,000 であることが判明した。
⑷前期に生じた売掛金 ¥ 300,000 が得意先の倒産により回収できなくなったため、貸倒れとして処理する。なお、貸倒 引当金の残高は ¥ 250,000 である。
⑸当期中に取得した直江工業株式会社の株式 10,000 株(1 株当たり購入単価 ¥ 500 、その他に購入時に証券会社へ支 払った手数料は総額で ¥ 30,000 )のうち、5,000 株を 1 株につき ¥ 502 で売却し、代金は月末に受け取ることにし た。
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解説
⑴小笠原商店へ商品 ¥ 400,000 を売り渡し、代金のうち ¥ 250,000 については、村上商店振出・小笠原商店宛の約 束手形を裏書譲渡され、残額については月末に受け取ることにした。なお、小笠原商店負担の発送運賃 ¥ 8,000 につ いては、小切手を振り出して立替払いした。(問題に立替金勘定が存在しない)
第1問で注意すべきなのは、勘定科目の指定。
仕訳を作る際には使用する科目があるかないかは確認して解答しましょう。
これが今回一番ややこしい仕訳になるので、これが解答できた人はおそらく全問正解ではないでしょうか。
まずは句読点前の言葉に注目してみましょう。
売り渡し→売上の話。
手形の受取、残額を月末に受け取り、発送費を小切手で立て替えた、ということがわかります。
まずはわかりやすい売上の方から考えていきます。
売上→お金の受取→お金増加→借方にお金勘定。
お金勘定は、手形の受け取りと月末に受け取りについて。
手形で注意するべきなのは「自分が振り出した手形かどうか」というところ。
今回は他の店が振り出した手形ということで、普通に受取手形勘定。
月末に受け取るという取引には、売掛金か未収入金のどちらかを使用します。
この判断は「商品の売買であるか否か」。
今回は商品の売買なので売掛金勘定を使用です。
これで、借方にお金勘定の受取手形と売掛金で、貸方は売上となりました。
残るは発送費の支払い。
発送費は相手の店が負担なので、発送費は使用しません。
(当店負担なら当店の費用として計上するため、発送費を使用します。)
立替払い、ということで通常は立替金勘定で仕訳を行いますが、今回は使用できません。
なので売掛金に含めて処理しましょう。
立て替えた→後で支払ってもらう→売掛金と同じ性質。
という考えから、売掛金に含めます。
商品の売買なので、未収入金は使ってはダメですよ。
支払いは小切手→当座預金勘定。
解答
(受取手形)250,000 (売上)400,000
(売掛金) 158,000 (当座預金)8,000
⑵営業用の建物を ¥ 5,000,000 で購入し、代金は当月末に支払うこととした。なお、仲介手数料 ¥ 100,000 について は、小切手を振り出して支払った。
先ほどの売掛金のときに書いたことが、早速役に立つ問題です。
建物の購入→お金の減少→貸方にお金勘定。
今回購入したものは、営業用で売買に使用するものではありません。
なので、当月末に支払うという勘定科目は、未払金勘定になります。
商品の売買ならば買掛金勘定ですよね。
仲介手数料として小切手を振り出しています。
この費用は建物の取得にかかったもの。
そのため、有価証券や仕入れの時と同じくその勘定科目に含めて処理を行います。
解答
(建物)5,100,000 (未払金)5,000,000
(当座預金)100,000
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⑶前月末に得意先より ¥ 300,000 が当座預金口座に振り込まれたが、その内容が不明であったため仮受金として処理していたが、本日得意先から連絡が入り、その内訳が売掛金の回収額 ¥ 200,000 と、注文を受けた商品 ¥ 400,000 に 対する内金 ¥ 100,000 であることが判明した。
仮受金の内容が判明したので、その処理が求められています。
以前に処理されている仮受金・仮払金は現金の代わりになります。
後半の文章から、売掛金の回収と内金=前受金であると書かれています。
この処理が行われていなかったということなので、これから行いましょう。
売掛金の回収→お金の増加→今回の問題では現金の代わりとなる仮受金が借方にくる。
※売掛金の回収→売掛金=お金勘定が減る→貸方に売掛金、と考えてもいいです。
前受金→これは先にお金を受け取ったという意味→お金の増加→現金の代わりとなる仮受金が借方にくる。
解答
(仮受金)300,000 (売掛金)200,000
(前受金)100,000
⑷前期に生じた売掛金 ¥ 300,000 が得意先の倒産により回収できなくなったため、貸倒れとして処理する。なお、貸倒引当金の残高は ¥ 250,000 である。
貸し倒れの処理はわかりますか?という問題。
まずは貸倒れたということで、回収できるはずの売掛金がなくなってしまいました。
売掛金が回収できない→売掛金が減る→お金勘定の減少→貸方に売掛金。
前期に生じた売掛金なので、貸倒引当金を相手勘定として使用します。
しかし、引当金残高が少ないので不足額は当期の費用として貸倒損失で処理を行います。
引当金の不足→貸倒損失、と覚えましょう。
解答
(貸倒引当金)250,000 (売掛金)300,000
(貸倒損失) 50,000
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⑸当期中に取得した直江工業株式会社の株式 10,000 株(1 株当たり購入単価 ¥ 500 、その他に購入時に証券会社へ支 払った手数料は総額で ¥ 30,000 )のうち、5,000 株を1株につき ¥ 502 で売却し、代金は月末に受け取ることにし た。
当期取得した有価証券の一部を売却した、という問題。
まずは今回取得した金額を求めましょう。
1株500円の株式を10,000株購入。
手数料が30,000円。
上で書いたように、商品や固定資産と同じように取得にかかった費用は全てその科目の金額に含めます。
なので、この有価証券10,000株の価値は500×10,000+30,000=5,030,000円です。
このうち、5,000株を売却したということで、5,030,000÷10,000×5,000=2,515,000円分の有価証券が減少します。
有価証券の売却→お金の増加→お金勘定が借方。
この時使用する科目は未収入金です。
商品の売買でなく、後で受け取るという取引だからですね。
今回2,515,000円の有価証券を2,510,000円で売った→5,000円の損が出た。
よって使用する科目は有価証券売却損。
解答
(未収入金)2,510,000 (有価証券)2,515,000
(有価証券売却損)5,000
まとめ
今回の問題で聞かれていたことは主に3つ。
・未収入金と未払金を使う場面がわかりますか?
・発送費の相手負担で立替金を使用しない場合どうするか?
・固定資産や有価証券の取得にかかる費用をどのように処理するか?
逆に言えば、これらがわかる人は問題なく解けたはずです。
わからなかった人はこの機会に覚えなおしてみましょう。
この記事を読んでいるのが、試験前日だと困りますが1週間程度余裕があれば、今からでも十分合格できます。
最後まで諦めず頑張ってください。
このページがあなたの役に立ったのなら嬉しいです。