雑記

RIZAPの「継続企業の前提注記削除へ」のお話

2024年6月28日、日本経済新聞に掲載されたニュースの見出しがセンセーショナルすぎて笑ってしまいました。

ということで、「継続企業の前提」とは何かを簡単に解説しながらこのニュースの中身を見ていきましょう!

 

継続企業の前提って何?

そもそも継続企業の前提って何よという話。

会計基準は、「企業実体の公準」「継続企業の公準」「貨幣的評価の公準」の3つの基本的な考え方を基に存在している。なので、財務諸表は、原則として、継続企業の前提に基づいて作成されている。

一番わかりやすいのが、固定資産の減価償却の処理。建物を20年間で均等償却をするという処理は、そもそも20年後も企業が存在していなければ成立しない。もしいつ倒産してもおかしくないとなれば、その建物は処分価値で表示することになります。

世の中の財務諸表は継続企業の前提に基づいて作成されているので、普通は意識することがない要素ですね。

 

継続企業の前提の記載、とは(ニュースの結論)

上記に書いた通り、財務諸表は継続企業の前提に基づいて作成されることが普通なので、そもそも有価証券報告書にそんなことを記載することはないんですね。

何の知識もない人は「RIZAP継続企業の前提注記削除」と聞けば、継続しなくなる=倒産の危機なのでは、と勘違いしてしまうと思います。

しかし実際はそので、継続企業の前提の注記があることがヤバいのであって、その記載を削除したということは、継続企業の前提に関して記載する必要があるような事項がなくなったということを示すのです。

つまり、RIZAPの経営は大丈夫!心配無用ってことです。(知らんけど)

 

RIZAPによる発表

RIZAPは6月27日に”「継続企業の前提に関する重要事象等」の解消に関するお知らせ”という文書を開示してます。(参照:みんかぶ

中身はA4が1枚だけだけど、長々と書いてあって読む気が起きないと思うので私が要約いたしますと。

ざっくり要約

2024年3月期は、chocoZAP事業へいっぱい投資したし、元々の事業も改革したから多額の損失が出てしまったんだ。しかも色々値上がりしてるし円安やし、今年はつらかったよ。
結果、2023年3月期に続き損失を計上したことで2024年3月期に銀行等との(利益を出し続けるという)約束を少し破ったので、継続企業の前提が怪しくなってしまいました!
でもね、2024年3月期の後半は黒字になってきたし、この調子なら来期は黒字になりそうなんです!
しかも!6月にはSOMPOホールディングスからお金をもらえたから、銀行にも安心してもらえたんです!
だから、継続企業の前提の注記を記載しなくても大丈夫になったんだよ!だから削除するってお知らせをしました!
これからも頑張るので応援よろしくね!

ふざけた要約ですが、まぁ、大筋は間違っていないと思います。

ちなみに、この削除したという話ですが、有価証券報告書の前に開示された決算短信に記載された注記を有価証券報告書に記載しません、ということです。RIZAPのHPにある2024年3月期の決算短信p6に記載がされてますので、興味があれば見てみてください。

有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記がある例

有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記がある企業の例として、ペッパーフードサービス株式会社があります。

2023年12月期の有価証券報告書には、継続企業の前提に関する注記が記載されています。今回のRIZAPにおいて削除された記載というものはこれです。

具体的な状況は不明ですが、単純に有価証券報告書に継続企業の前提に関する注記が記載されているペッパーフードサービス株式会社の方が危険信号です。

じゃあ継続企業の前提に関する注記が求められるのはどういうときなのか。それを語るには長くなりすぎるので、別の機会にします。

まとめ

RIZAPが継続企業の前提記載を削除というニュースは、別にRIZAPがヤバいという話ではないんだよ、というお話でした。

いや、決算短信に記載がある時点で黄色信号ではあるのだけど、それでもその危険は決算短信を開示したときよりは和らいでいるということなので、ひとまずは危険が去ったと考えてもいいです。

とはいえ、直近では損失が多額であり、人件費等原価が増加している現状を考えると、将来のことなんてわからないんだけどね。2025年3月期も赤字となる可能性も十分にある。

もしRIZAPへの投資を考えているのならば、しっかり決算短信と有価証券報告書を読み込むことをおすすめします。

それではここまでお読みくださりありがとうございました!

また別の記事も読んでくださるとうれしいです!

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